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がんばらない、とは『ギブアップしよう』という意味ではなく、『あきらめない』という意味。

  2年前に僕は「がんばらない」という本を書いて、驚くほどたくさんの人から「この言葉に出合ってホッとした」という手紙をもらいました。日本人は「がんばる」ことが大好きですから、みんながんばり過ぎて息が詰まりそうになっていたんだなあと思いました。

 「がんばらない」とは、「ギブアップしよう」という意味ではありません。むしろ逆で、「あきらめない、希望を捨てない」ことなんです。これまで十分がんばってきた人が思うような成果を上げられずに苦しんでいるとき、激励のつもりで言った「がんばれ」が、その人を傷つけてしまうことがあります。「がんばれ」という言葉には、「今のままじゃダメだ、もっとがんばれ」と、その人のがんばりを否定する響きがあります。だから本当は、「よくがんばっているね」と、その人のありのままの姿を認めて、そこから豊かな生き方をしていくことが大切なのです。

 医療も介護も同じですが、「がんばる」介護は、みる側の都合を優先した押しつけの介護になりがちです。本来、介護は、介護される人の人生を支えることです。苦難の状況にいる「介護される人」が何を望んでいるのかが一番大事なのに、介護する側がひたすら「がんばる」介護の中では、それが見えなくなってしまう。肩の力を抜いて「がんばらない」介護をしてみると、誰を大切にしなければならないのかが自然に見えてきます。

 20年前、僕たちの病院は市民の声に応えて、寝たきりのお年寄りを「お風呂に入れちゃう運動」とデイケアを始めました。福祉のお世話になることを潔しとしない人たちも「病院がやっていることなら」と徐々に利用者が増えました。そうして地域へ出て行く中で、僕たちは介護する家族を支えることの大切さを身を持って知りました。介護を一人で抱え込んでいては疲弊するだけ。共倒れになっては介護される側にとってもよくありません。

 介護する家族には「ラクになってよ、そのために僕たちがやっているんだから」と言ってあげたいんです。たとえば、週に1、2回は各種の介護サービスを受ける。家族が疲れなければ、いい介護を長続きさせることができます。介護される側にとっても多様な人とのかかわりはいい刺激になるし、何より身近な家族の負担が減って、毎日の暮らしに笑顔やコミュニケーションが増えることもあるのです。それは介護を受けながら、その人らしく輝いて生きるためには大切なことではないでしょうか。
 ほんのちょっとでも余裕があると、人は介護を楽しむこともできるし、成長することもできます。罪悪感なく上手に手を抜いて、時には正々堂々とリフレッシュの時間を持ってほしい。そしてまた、明日からしっかり介護する力を養ってもらえばいいんです。

 21世紀の高齢社会では、介護は大きなテーマです。お互いのありのままを認め合って、多くの人たちが力を合わせて、その人らしい多様で豊かな生き方を模索していく。そのために「がんばらない介護生活」の考え方が、一人でも多くの人たちに浸透していくことを期待したいと思います。

鎌田 實(かまた みのる)
「がんばらない介護生活を考える会」委員。1948年東京生まれ。74年東京医科歯科大学医学部卒。長野県茅野市にある諏訪中央病院で「管理者」として地域医療に携わる。著書に『がんばらない』(集英社)がある。

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