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● 第一部 「介護のプロ向け特別セミナー」 | ![]() |
【講演】認知症の早期発見〜医療と介護の共通ツール
■玉井顯(たまいあきら)
(敦賀温泉病院院長/医師)
認知症は早期発見・早期治療することで、重症化を防ぐことができます。また、ご家族や介護スタッフなどが認知症について知ることで、介護をする方も認知症の方ご自身も不必要な不安を感じずに生活することができるようになります。そうすれば、自宅での生活も可能です。ただしそれには、認知症の方自身と、ご家族の方へのバックアップ体制が必要です。
また、いくつかの認知症の診断基準とともに、独自に開発された「生活支援アンケート」を紹介しました。ご家族の方が見つけられるような生活症状を質問項目にしたもので、脳の障害部位や医療との連携が必要な部分、ご家族への念入りな説明が必要な部分などが分かるようになっています。認知症の検査をご本人が嫌がる場合でもご家族の方がチェックできるという利点もあります。
■講師:江頭文江(えがしらふみえ)
(地域栄養ケアPEACH厚木 代表/管理栄養士/がんばらない介護生活を考える会賛同人)
低栄養とは、エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢になると、食べる機能や消化機能の低下や生活環境の変化などから、栄養も水分も不足することが多くなっています。1回でたくさん食べられない場合には、間食や市販の栄養食品(少量でエネルギーをとれるもの)などを使って補うことも重要です。
おいしく食べるには、(1)おいしい料理 (2)おいしく感じられる心身の健康 (3)おいしく食べられる口(噛んだり飲み込んだりするちから)が必要です。それぞれのポイントについて、お話しいただきました。
食べられないときこそ、「がんばって食べる」のではなく、「おいしく食べられる」ように、アレンジしやすい食材やすぐに食べられる市販の食品等を常備しておくと良いですと締めくくりました。
このセミナーでは、明治メイバランス・明治やわらか食をアレンジしたメニュー(五穀米ドリア・ミネストローネスープ・プリン)も提供しました。
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● 第二部 「一般向けセミナー」 | ![]() |
■別府明子(べっぷあきこ)
(NPO法人トータルライフサポート理事/カウンセラー/がんばらない介護生活を考える会委員)
当会がんばらない介護生活を考える会は、今年で10周年となります。この10年で、介護と介護を取り巻く環境は大きく変化しました。中でも大きな変化の一つである昨年の大震災の被災地の支援のなかで、地元介護者の集いで「話せてよかった」と言われたエピソードをもとに、「人の話をゆっくり聞いてくれる人」が足りないのかなと感じていることを挙げ、がんばらない介護生活のポイントの1つ、「一人で抱え込まない」に関連させてお話しいただきました。
【講演】仕事と介護の両立実践術〜いきいきと介「互」を乗り越えるために
■講師:渥美由喜(あつみなおき)
(厚生労働省 政策評価に関する有識者会議 委員/東レ経営研究所 研究部長/がんばらない介護生活を考える会 賛同人)
介護では、「てじかあこ(手近なわが子)」(手を使う、時間を使う、金を使う、頭を使う、心を使う)が重要で、この順に偉いという。どんなに時間を使っていても、心を使っていても、実際に手を動かす人には敬意を表し、尊重するのが上手に協力するコツだそう。
そして、抱え込まないのが一番大切。ですが、多くの方が職場に介護をしているということを言えていないのが現実。カミングアウトできれば孤立感が緩和されます。
最後に幸せとは、不幸が起こらないことではなく、うまく不幸を乗り越えること、と締めくくりました。
【講演】らくらく介護講座 おむつの上手な選び方・使い方
■講師:葭田美知子(よしだ みちこ)
(NPO法人メイアイヘルプユー理事/看護師/がんばらない介護生活を考える会委員)
自立度の高い方向けの商品を中心に、女性用計失禁ケア用品 「ナチュラ」、大人用紙おむつ「アテント」について、症状や使用シーン、そして使う方の気持ちに合わせた上手な使い分けを大王製紙社員より解説。商品特徴に合わせて使い分けることで、より快適に、漏れなく使うことができます。
続いて、おむつの基本的な使い方を葭田委員が実演を交えながら紹介しました。
ギャザーは、股の部分・ウエスト部分ともはく前に伸ばして立てることで、漏れを防止するとともにかゆみの防止となることを紹介。また、吸水によるポリマーの膨らみ、股関節が開いた歩行は転倒の原因となりますが、股の部分を細く折ることで予防できることも指摘しました。
【講演】トーク&レクチャー 介護と幸せな人生の両立のために 〜プロに聞くがんばらない介護生活のコツ〜
ミニ講演
■講師:鎌田實(かまたみのる)
(諏訪中央病院名誉院長/医師/がんばらない介護生活を考える会委員代表)
「介護の日」は、介護をしている方に感謝をする日、かつ、介護をよく知って上手に乗り切るためのスタートの日になればと思っています、と「介護の日」を紹介した後、幸せな人生のために大事な視点として、副交感神経を働かせること、希望を持つことで免疫が強化されること、2つの幸せホルモンについてお話しいただきました。
介護では、介護をする側も受ける側も、交感神経がはたらき緊張状態になります。時には、ゆっくりとリラックスして副交感神経を働かせる時間を作ることが大切です。希望を持ったり、笑ったりすると免疫作用のあるナチュラルキラー細胞が増えることが分かってきました。また、幸せホルモンであるセロトニンは、おいしいものを食べたり、感動すると分泌されます。もう1つの幸せホルモン、オキシトシンは、スキンシップを取ったり、相手の身になることで分泌されます。
トーク

■玉井顯(たまいあきら:敦賀温泉病院院長)
■山下一平(やましたいっぺい:日本福祉用具供給協会理事長/全国福祉用具専門相談員協会理事長)
■葭田美知子(よしだみちこ:NPO法人メイアイヘルプユー理事/看護師/がんばらない介護生活を考える会委員)
専門家にそれぞれの分野についてお話しいただきました。
[鎌田]
日本の介護保険制度ができて12年がたちましたが、何が変わったのでしょうか。
[村木]
介護分野の基本的なサービスの整備が進み、それまでは家族が介護をするのが当たり前と考えられていたのが、介護には介護のプロがいて、地域には介護サービスがあるというように基本的な考え方が変わったと思います。
[鎌田]
仕事を続けながら介護をできるようになるにはどうしたらよいでしょうか。
[村木]
平成14年〜19年の5年間で介護により退職・転職をした人が50万人います。その多くが40〜50代なので、管理職などの責任を負っている人たちです。まだ認知度が低いのですが、介護が必要になった時に介護体制を整える時間として93日間の介護休業の制度があります。また、有給休暇の他に1年に5日の介護休暇も取得することができます。これらをぜひ使ってもらいたいです。でも、こういった制度を会社の中で使うには勇気がいりますよね。20代・30代は育児休暇を取りたいと思い、40〜50代は介護休暇を取りたいと思っています。お互いに協調し、全世代で「お互い様」と思って、家庭と仕事が両立する仕組みを広げていくことが大切です。
[鎌田]
認知症の早期発見・早期診断には何が必要なのでしょうか。
[玉井]
1にも2にも啓発だと思います。地域で認知症に関する講演等をすると、その地域の方の認知症への偏見がなくなり、症状の軽い方が病院に来るようになります。軽いうちに受診すれば、治療も力を発揮することができ、そのまま自宅で生活が送れ、入院しても早期の退院が可能になります。
[鎌田]
認知症の方とともに「がんばらない介護生活」を送るにはどうしたらよいでしょうか。
[玉井]
認知症について理解すれば、不必要な負担が取り除けます。認知症の方が、鍵をかけたか何度も確認され、これに娘さんも一生懸命対応していました。この方に、これが認知症の症状であることを説明したところ、対応が変わり、認知症の方自身も、娘さんも楽になったと言われました。認知症の方とともに「がんばらない介護生活」を送るには、ご家族の方に「がんばらないで」と伝えるだけでは不十分で、認知症についてしっかり説明し、いざというときは入院できるなどのバックアップ体制を作ることが必要です。
[鎌田]
幸せな人生について、認知症の方と接する中でお感じになられていることなどありますか。
[玉井]
認知症についてはまだ分かっていないこともたくさんあります。私は、認知症の方と一緒に歩いたり、ドライブしたりしながらしています。人生を幸せに生きるにはどうしたらよいかは、認知症の方に教えてもらいながら見つけていこうと思っています。
[鎌田]
福祉用具がもっと広がれば、「がんばらない介護生活」が可能になるのでしょうか。
[山下]
私は日本の介護の在り方が古い、昔ながらのマンパワーに偏り過ぎたかたちのままなんじゃないかと思っています。福祉用具はモノというイメージがあり、温かみがないように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これからの介護の在り方としては、「まず最初に福祉用具で環境整備をしたうえでマンパワーを導入する」これこそ、財源や人材の限られている中、質の高さを維持しながら最も効率的な効果を発揮できる唯一の方法であると確信しています。
[鎌田]
福祉用具は、介護する方の負担も減り、その人らしく生きることにつながるのですね。
[山下]
その通りです。様々な介護サービスの中でも、まさに自立支援のサービスは、福祉用具だけなんです。失った機能が福祉用具を使うことでよみがえってくるのですから。介護を受けている方は、自分の存在が介護をする方の負担になっていることに引け目を感じていることが多いので、福祉用具を使うことで介護をする方の負担が減るだけでなく、介護を受ける方にとっても大きな喜びとなります。福祉用具は、何かができないから使う、というのではなくて、ちょっと調子の悪いときに使う日常生活用具と認識していただきたいと思います。
[鎌田]
今日はおむつの実演講座もしていただきましたが、おむつを使って豊かな生活をしえいる方はいますか。
[葭田]
在宅でテープ型のおむつをして、排泄はすべて介護を受けていた方が、デイサービスに通い適切なケアをすることで、パンツ型のおむつを使って自分で排泄をすることができるようになった例があります。適切なケアと製品の適切な使用により、介護の負担も当事者のQOLも改善することができます。もっと製品やサービスの基本的な使い方について知っていただくことも大切だと思います。
[鎌田]
当会の永久課題「介護と幸せな人生の両立」のためには、何が必要でしょうか。
[葭田]
自分がつらいと思うちょっと前に、誰かに話せるというのが大事です。まずは発信すれば、誰かが手を引いてくれます。相談する相手は、友達でも、ケアマネージャーでも、地域包括支援センターでもどこでも構いません。1人で抱え込まないということが重要です。
■会場入り口
■会場風景
■大王製紙株式会社エリエールアテント
■株式会社明治
■日本介護食品協議会
■サンスター株式会社
■賛同人鶴丸礼子 ファッションブース
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● セミナーの概要 | ![]() |
●テーマ | : | がんばらない介護生活 〜介護と幸せな人生の両立〜 |
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●日時 | : | 2012年11月11日(日) |
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●場所 | : | イイノホール 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビル |
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●参加者数 | : | 第一部:120名 第二部:350名 |
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●主催 | : | がんばらない介護生活を考える会 |
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●後援 | 厚生労働省/全国社会福祉協議会/全国地域包括・在宅介護支援センター協議会/日本医師会/日本看護協会/日本栄養士会/日本コンチネンス協会/高齢社会をよくする女性の会/シルバーサービス振興会 |
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●特別協賛 | : | |
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●協賛 | 株式会社明治 株式会社ヤマシタコーポレーション ノバルティス ファーマ株式会社 日本介護食品協議会 サンスター株式会社 |
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●協力 | : |